合成動画 II

純粋にVRMを楽しんでいる方には何の役にも立たない話ですが、前作新作ともに我ながら面白い仕上がりになったように思うので、その作り方を紹介しておきます。

要するにコレの応用編に過ぎないので察しの良い方には「また面倒なことをしたもんだなぁ」と思われてそれで終わりかと思いますが。

単に普通にVRM動画を作るのに飽きてきただけのような気もしますが。

作業の流れ

最初に”Reflection II”を題材に大雑把な作業の流れを示します。以下、この流れに沿って、やはり大雑把に説明します。

 

1. VRMレイアウトを作る。

 (この時点である程度完成像はイメージしておく)

2. 動画A(主となる動画)を作成する。

3. 動画Aに被せる「マスク」を作成する。

4. 動画Aとマスクを合成し、動画A’を作成する。

5. マスクの位置に移りこむ動画Bを作成する。

6. 動画Bの上に動画A’を合成する。

 

ポイントとなるのは便宜上「マスク」と呼んでいる画像を作る部分です。これは実物を示しながら説明した方がご理解いただけると思いますので、以下、順に読み進めてください。

 

1.VRMレイアウトを作る

当然ながらVRMレイアウトを作らないと話は始まりません。今回作成したレイアウトは俯瞰するとたったこれだけしかありません。

<ショボショボなレイアウト>

「たったこれだけしか」というのは、ghostが動画生成のために作成したVRMレイアウトすべてに共通します。つまり「見せるトコロしか作らない」がghostの多作の秘密の1つです、ハイ。

もちろん、どのような完成像(合成動画)を得るかはこの時点でイメージしておく必要があります。本作では「ビルの窓に映りこむ反対側の景色の再現」をテーマに据えたので、高架区間を挟んで上には窓ガラスの目立つビル(動画Aになる)を、下側には写り込んだ際に鏡像反転が印象付けられるよう文字の書かれた広告看板を含むビル)動画Bになる)を配置しています。

2.動画Aを作成する

合成動画の主となる動画を便宜上「動画A」と呼ぶことにしましょう。これを作成します。この作品ではこんな感じですね。

<動画A>

この記事を読んでいる人に限って「VRMからの動画の作り方がわかんなーい」ということはないと思いますが、万が一そうであればまずコチラから読むべし。

動画Aを作成する際にはそのアングルに注意が必要です。まず、作業の手間の現実性から考えて固定カメラである必要があります。加えて、このあと合成していく動画Bが写り込む部分(上掲ショットではビルの窓)に動体(同じく500系新幹線)が被らないようにしておきましょう。

3.マスクを作成する

動画Aに動画Bとの合成を可能にする加工をおこなうための画像を「マスク」と呼ぶことにします。マスクは、具体的には動画Aから取り出した画像に2つ手を加えたものになります。

<マスク>

マスクの作成には特別なツールは必要ありません。極端な話、動画編集アプリケーションからコピーしたBMP画像をWindows標準の「ペイント」に貼り付ければOK。ghostはこの最もプリミティブな方法を使いました。

もちろん、より強力な描画アプリケーションを使えばこの作業はより楽になります。ペイントだと無限アンドゥが効かないし、縁取りとか全部手作業になりますから。

第1に、最終的に動画Bが写り込む部分を任意の色で塗りつぶします。上掲ショットでは紫色の部分です。これを「透過色X」と呼ぶことにしましょう。

第2に、動画Aの動体が写り込む部分をやはり任意の色で塗りつぶします。上掲載ショットでは緑色の部分です。これを「透過色Y」と呼ぶことにします。

当然のことながら透過色XとYは異なる色である必要があります。また、それぞれの色は万が一にも動画A、Bのいずれにも含まれることがないよう、極端な色を使うようにしましょう。でないと、思いも寄らない場所に合成効果が波及してしまうことになります。

4.動画A’を作成する

動画Aにマスクを合成したものを「動画A’」と呼ぶことにしましょう。要するに、マスクの透過色Yの部分に動画Aの動体が写り込んだものになります。

<動画A’>

具体的な合成の手順はお手元の動画編集アプリケーションによって異なると思うので割愛します。

5.動画Bを作成する

動画A’の透過色Xの部分に移りこむ映像を「動画B」と呼ぶことにしましょう。前作の場合、動画Bは動画Aを上下鏡像反転したものを青のモノトーンに加工したものでした。

<上下鏡像反転の例>

改めてそう言われると「なるほどなー」と思っていただけるのではないでしょうか。

厳密には動画Bを動画Aに対して下方向にシフトする、という手間もかけてはいるワケですが。

今回は「ビルの窓に映りこむ反対側の景色」を作るので、まったく別の動画をもう1つ作ることになります。具体的には、動画Aのビルの窓あたりから見た感じの光景(光学的には正しくないような気もしますが、まぁ、それらしく見えさえすれば良いので)を作成します。

言うまでもないと思いますが、本作のように「鏡に映った同じ列車」を演出するのであれば動画A、Bそれぞれの列車の走行速度は揃えておく必要があります。念のため。

<動画Bの元ネタ>

アングルの決定には、先に得た動画A’とビュワー画像を見比べながら微調整すると良いでしょう。まぁ、私以外にこんなことに挑戦する暇人がいるとも思えませんが。

 

 

なお、動画Aに写っているビルはこのショット取得中は取り除いてます、邪魔なので。

当然このままだと左右が逆なので、鏡像反転処理を施します。加えて、窓ガラスに映りこんだ像ということで、RGB補正でやや青を強めに加えた上でコントラストを落としてみました。

<動画B>

動画Aと動画Bが本作のようにまったくの別動画の場合、合成のタイミングにも注意が必要(列車と鏡像がズレるとか)ですが、まぁ、適当に調整しましょう(ォィ。

6.動画A’と動画Bを合成する

最後に、動画Bの上に動画A’を透過色Xを透過させて合成します。

<完成>

 

と、まぁ、こんな風に簡単に(?)普通にビュワーで見るのとは一味違った動画を得ることができます。

我こそは、と思う暇人・・・もとい、強者は挑戦してみてください。で、出来たら知らせてください。大々的に特集を組んで持ち上げて差し上げますので。

まぁ、出来にもよりますが(ぉぃ

VRMoviesは、ここに紹介した技術情報について、読者のお手元の環境での再現性をいかなる場合においても保証いたしかねます。ご承知おきください。

 


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