合成動画

第20作"Too Late"及び第26作"Tunnel Inferno"では、VRM3キャプチャーから生成した動画にさらに手を加えることで演出を施しています。実は ghost は自分で手を染めながらこのような手法は邪道だと思っています。が、枯れ木も山の賑わいですし、このような遊びをしてみたいという方もおられるかも知れませんので、ちょっと書いてみることにしました。

先にお断り申し上げておきますが、動画に手を加えるのは決して簡単な作業ではありません。また、お手元の動画編集ツールの仕様にも左右されるため「こうすればできます」といった記事を書くには馴染まないネタです。本稿では、第26作中の電気機関車が急制動をかけて車輪にスパークが発生するシーンを題材に、その考え方を概説するに留めます。

 

手間さえ惜しまなければ、"Tunnel Inferno"の牽引機をEF70っぽくしたり、側面のJRマークを消したりもできますが、そこまでやると最早VRM動画とは言えなくなるかなーと思ってやめました。

え、手抜きの言い訳っぽい?

いやー、おっしゃるとーりっす。

<スパークする車輪>

 

実はこのスパークは、やってはみたものの「誰も気づかないんじゃないか」あるいは「何かわからないんじゃないか」と不安だったんですが、BBSの方でかおるさんが突っ込んでくれたのでホッとした、というのが実のトコロです。

まず「どのようなシーンであれば合成に向くか」から触れておきたいと思います。今回のように車輌映像の一部に手を加える場合、車輌の向きや奥行きが変化するカットは加工の手間を考えると余り現実的ではありません。

「車輌の位置・向き・奥行きがフレーム内で固定されており」「背景の動きを感じることができる」カットが、最小限の手間で動画合成の効果を最大に得られるものと思われます。今回の作例では、電気機関車はカット中、常に同じ位置にあり、背景だけが動きを表現しています。また、トンネル内という殺風景な背景に最大限動きを加えるため、線路脇にキュービクルや信号機を配してみました。

 

<VRM3からキャプチャされた元画像>

 

このカットは機関車が極度にアップになるため、側面の「JR」マークがギリギリ写らない構図を選択しました。

やっぱ、昭和47年の実在の事件を題材にしてる関係上、JRマーク目立つのは嫌なので。まぁ、他のカットで充分目立っちゃってますが。

以下、具体的な方法に進んでいきます。

上掲ショットがVRM3ビュワーからキャプチャされたオリジナルの画像です。前述したように、今回の動画加工は「車輌の一部に手を加え」「背景の動きはそのまま活かす」という方針です。これを実現するため、まずはオリジナルのキャプチャ画像を「手を加える部分」と「手を加えない部分」に分けることから始めます。

 

<手を加える部分とそうでない部分>

 

説明の便宜上、長方形に画像をくり抜いていますが、今回のように輝度を変化させるエフェクトをかけた場合、矩形の切り抜きは境界線での輝度変化が目立ってしまい、芳しくありません。

実際には、スパークしている光の周囲を円形にくり抜いて合成しています。

車輪に急制動によるスパークを書き加えるだけならば、上に示した非網掛け部のみで充分なはずです。この部分にスパークを書き加えます。今回は、WoodyBell氏作のフォトレタッチツール「JTrim 1.40」の「超新星エフェクト」を使ってスパークを表現してみました。このエフェクトは、他にもヘッド・テールライトの表現付加にも利用できそうです。実は第24作"Twilight Express I"の背景の夕日もこのエフェクトで作りました。

さらに、超新星エフェクトの大きさ(ツール的には輝点の半径)が異なる画像を4枚用意し、これでパラパラアニメーション的にスパークに動きを与えています。

 

WoodyBells氏のWebはこちら

<これを何度もコピペして、アニメーションにする>

 

こうしてスパークを書き加えた画像の「VRMから生成された動画活かす背景部分」に当たる個所(先の黄色い網掛けで示した部分)を単一の色で塗りつぶします。上掲例では青色にしていますが、お手持ちの動画ツールが透過色を選択できるものであれば何色でも構いません。大抵のツールは任意の色を透過色に指定できるはずです。この際、注意すべきことは透過色に指定した色が万が一にも動画の他の部分に使われていない、ということです。

透過色の選択については、いかにも制作費の安そうなテレビ番組で、しばしば前世代のブルーバック合成の結果、出演者のお腹に背景が写りこんでたりするケースがありますが、要するにそういうコトが起こります。

最後に、VRMビュワーから生成した動画に用意した合成用の動画を重ね合わせます。以上で合成動画が完成します。言葉で表現するのは簡単ですが、このワンカットだけで1時間くらいかかりました、ほんの数秒なのにね。

 

私の他にこういう酔狂なことを試みる暇人がいるとも思えませんが、気が向いた方は挑戦してみてください。

VRMoviesは、ここに紹介した技術情報について、読者のお手元の環境での再現性をいかなる場合においても保証いたしかねます。ご承知おきください。

 


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