背景画像の作り方

VRM3では、1024 x 256 の任意のbmpファイルをビュワー表示時の背景とすることができます。が、インターネットで公開されているVRMレイアウトを散見すると、この機能を活用しているユーザーは思いのほか少ないようです。

推察するに、この機能を活用するには以下に列挙するようないくつかの壁があり、これがユーザー各位の本機能の活用を妨げているものと思われます。

今回の作例に使用した富士山の写真は近代航空株式会社様の御厚意により素材利用と配布の許諾をいただいたものです。この場を借りて改めて厚く御礼申し上げます。

 

・素材となる(デジタル)写真の撮影

・1024 x 256 ピクセルへの編集(トリミング)

・背景画像左右端の連結

 

今回は、なるべく手間をかけずにこれらの問題を回避し、それでいてそれなりに見栄えのする背景画像を作る方法を考えます。

 

最小限のコストで最大限のリターンを得る、というのはVRMに限らず、ghostの人生訓でもあります。単にセコい性格だ、ってだけの話ですが。

素材の撮影

暴論を覚悟で申しますと、以降に述べる方法で適当に処理してやると、多少無茶な写真でもそれなりのVRM用背景画像になるので、特別な技術は必要ありません。ただし、いくつか注意すべきことはあります。

第1に光量の問題があります。神経質に露出計で測ったりする必要はまったくありませんが、後からフィルターで天候効果を加えるというVRMビュワーの仕様から考えて、なるべくよく晴れた日に太陽を背にして撮影した写真が無難です。

第2にズームの問題があります。ディテールにこだわって風景をズームインで撮影すると、結果的に背景に含まれる建物等がVRMの列車・ストラクチャに比してオーバースケールになる場合があります。「所詮、背景画像はオマケ」と割り切って、ズームアウト気味で撮影した方が、後々便利だと思っておきましょう。

VRMパッケージ付属の「背景都市部.bmp」なんかは明らかにオーバースケールだと思うんですが・・・

デジタルカメラを持っていない、あるいは自分では撮影にいけない場所を背景としたい、という場合は、インターネットに公開されている写真素材を使うというのも手です。但し、個人的に楽しむ場合はさておき、その背景画像を含むレイアウトをWebで公開するつもりであるならば、その写真の撮影者(もしくは権利者)に話を通しておいた方が無難でしょう。メール或いはBBS等で至極当然の礼儀を払えば済む話ですし、大抵の個人Webサイト管理者は歓迎してくれるはずですから、この点は手間を惜しまないことをお奨めします。

なお、今回の作例では、敢えて法人Webサイトである近代航空株式会社様にWeb公開されている写真素材の転用・再配布許可をお願いし、幸いにしてご了承をいただくことができました。ただし、これは稀なケースであるとお考えいただいた方がよろしいかと思われます。また、この一事をもって同社様Webの写真素材の無制限な再利用が一般に許可されていると誤解しないようご注意ください

 

以下は個人的な意見です。

インターネットに一旦2次利用可能な方式でなんらかのリソースを公開してしまった以上、その2次利用を完全に制約することは現実的には不可能です。つまり「転載禁止」等という文言はなんら物理的な拘束力を持ちえません。

一方で法的な拘束力は持ち得る場合がありますが、これも実際に裁判をおこしてまで争うかという問題を前にした場合、特に権利者が個人の場合は現実味がありません。

他Webサイトで公開しているリソースの転用可否を求めるという行為は、まず「マナー」の問題と考えるべきでしょう。マナーを無視したツケは、確実に道義上の問題として自身に降りかかります。

逆に、自身が権利をもっているリソースの転用を制約したいのであれば、リソースの公開を止めるか、或いはそれなりの投資をおこなって物理的・法的にそれを阻止すべきです。

トリミング

素材となる写真が用意できたら、そこからVRM3背景画像の規定サイズである 1024 x 256 ピクセルの画像をトリミングします。この作業は Windows 標準の「ペイント」でも可能ですが、後の作業の便も考えて、ghost が愛用しているフリーウェアをご紹介しておきます。

 

「トリミングって何?」という方はこちら。Webって、使おうとする意思のある人間にとっては、この上なく便利。

<JTrim 1.40 by WoodyBells >

 

WoodyBells氏のWebはこちら

この手のツールには個々人の好みもあると思いますが、この JTrim はトリミングはもちろんのこと、その他各種の画像の調整・加工の機能がコンパクトにまとまっている上に動作が軽いので、ghost的にはとてもお奨めの逸品です。

トリミングの際に注意すべきことは、なんといっても左右端の切れ目に何があるか、という点です。ここに、例えばビルが半分だけかかって写っていると、切り取られた残り半分はビュワー展開時に表示されないワケですから非常に不自然な仕上がりとなります。トリミング位置を調整して、少なくとも目立つ被写体が左右の切れ目に乗らないようにしてやりましょう。

この点、JTrimはサイズを固定した切り抜き窓をマウスドラッグで任意の位置に持っていけることと、無限Undoが可能なことから、どうしてもトライ&エラーを要するこの作業には重宝します。

 

 

 

 

 

 

 

やはり満足のいく背景画像を得ようとする場合、トライ&エラー=試して見てはやり直す、は避けようががありません。

このような場合、無限Undoの利くエディタが有効なのは当然ですが、作業中の画像をこまめに別名で保存しておくのも、任意の作業地点に戻ってリトライできるという意味でお奨めです。

蛇足ながら。

好みの問題かとも思いますが、VRMビュワーは背景画像を筒状に丸めたような感じでレイアウト周囲に表示します。このため、元となった被写体は縦長になったように見えます。これを補正するために、トリミングに先立って画像を横長に修正しておくと、より良い感じに仕上がります。

 

 

 

このとき、横方向に拡大するのではなく、縦方向に縮小した方が、ピクセルの補填による画質の劣化を防げるので有効です。

左右端の連結

後でもう1度詳しく述べますが、背景画像をVRMビュワーで展開した場合、画像の左右の端がつながって表示されます。一見して一様に見える空の色も、実は微妙に変化していますから、単に写真をトリミングしただけの背景画像の場合、この左右の端がつながる部分が極めて不自然な感じになります。

 

<意外に気になるこの一筋>

 

これを各種のグラフィックエディタで微妙に調整するのは、なかなか至難の業です。そこでお奨めするのが「背景の空なんてオマケ」と割り切って、左右端がつながっても不自然ではない別の画像に差し替えてしまう、という手です。具体的には、以下のような流れになります。

 

1.素材写真の空の部分を白く(※)塗り

つぶしてしまう

2.空をイメージした適当なグラデーション画像

を用意する

3.2の画像の上に1の画像を合成する

 

※ ここで白に塗りつぶしているのは、白が利用しているグラフィックエディタで「透過色」に設定されているからです。

 

 

 

 

ここでは同心円状のグラデーションを施していますが、左右端の色が完全に一致してさえすれば、何でもいいです。

一見、面倒そうに見えますが、手作業で左右端の色調を揃えていくことを思えば、極めて楽に左右端のつながりによって生じる不自然な線の発生を防ぐことができます。また、空のグラデーションを工夫すれば、本物の空以上に空らしく見せることも可能です。

この作例ではおこなっていませんが、さらにブラシ系の効果ペンをもったグラフィックエディタで雲を書き加えれば(もちろん、画像の左右端を跨がないように・・・)より実感的な背景画像を得ることができるでしょう。

 

最後の仕上げ

特に "Fujiyama" の富士山のように目立つ被写体を背景画像に取り込んだ場合、レイアウト上の線路に対する被写体の方向を任意に設定したいものです。富士山が富士川鉄橋の進行方向にあったりすると、やはり変ですから。そこで、最後の仕上げとしてビュワー展開時に思い通りの方角に被写体がくるよう調整してやることになります。

試してみたところ、背景画像のほぼ中央(左右端からそれぞれ512ピクセルの位置)がレイアウター横方向正面に、左右端が縦方向正面にくることがわかりました。たとえば、上に例示した富士山の画像をそのままレイアウトに組み込むと、レイアウターの横方向真正面に富士山がくるようになります。

今回の作例では、富士川鉄橋線路を東西(レイアウター画面上方向を北とした場合)に向かって引きました。上画像をそのまま使うと、列車の進行方向に富士山が現れてしまいます。そこで、JTrim の「シフト」機能を使って画像を横方向にずらしました。

 

 

 

 

 

ちなみに、言わずもがなとは思いますが、VRM3では1枚の背景画像がビュワー展開時に2回使用されます。つまり、背景画像を2枚横につないだものがレイアウトの周囲をぐるりと囲んでいるような感じになります。

従って、レイアウター横方向(上方向を北とすれば東西)と縦方向(同じく南北)の景色はまったく同じものになります。こればかりは仕様なので何ともなりません。

<JTrimのシフト機能>

 

 

 

 

 

 

 

 

シフト機能は、このような調整はもちろん、前述の背景画像左右端のつながりを調整する際にも威力を発揮する便利な機能です。

これにより、南側から富士川鉄橋を俯瞰すると、その向こう側に富士山が見えるようになるという寸法です。今回配布している背景画像(富士山)はこの補正を施したものです。従って、列車の走る向こう側に富士山を見せたい場合は、東西に向かってレールを敷設してください。

 

この他、本稿で触れた画像編集の具体的な手順についてはたくさんの解説書が出版されているのでそちらをご参照ください。本稿ではVRM3の仕様に関わる部分のみに言及しました。

リクエストがあればより具体的な画像編集のノウハウについても書きますが、思うに、上の説明でわからない方はそもそも自分で背景画像を作ろうとは考えない、と思うので捨て置きます。

VRMoviesは、ここに紹介した技術情報について、読者のお手元の環境での再現性をいかなる場合においても保証いたしかねます。ご承知おきください。

 


Webmaster: ghost@nodus.ne.jp