橋脚とレイヤーの微妙な関係

唐突ですが、まずは結論から。

 

・レールに沿って「造成」し築堤するのであれば、レールと橋脚は別レイヤーにした方が便利

・平面上に高架区間を作成するのであれば、レール、高架プレート、橋脚は同じレイヤーの方が便利

・両者が混在するレイアウトの場合、それぞれの区間を別レイヤー管理した方が便利

 

説明・・・というか「言い訳」から入って最後に結論を言う奴は、時間の価値をわかっていない、という意味において、特にビジネスシーンで出会うとムカつきます。

単調ではないダイナミックなレイアウトを作成したいのであれば、橋脚を使ったレールの高度変化は避けて通れないテーマと言って良いでしょう。

橋脚はその性質上、レイアウター上では必ずレールと重なって配置されます。このようにレイアウター上で重なって配置される部品がある場合、これらをどのようにレイヤー分けするか、が後々の作業効率に大きな影響を与えることは必至です。

本稿では、「高度が0mmでない区間」の作成にあたって、どのようなレイヤー分けが作業効率の面で有効であるかについて考えます。結論は、先に示した通りですので、既に納得された方は、以下は読むに及びません。

 

 

 

本筋から離れますが(さっきもそうですが)Webでレイアウトを公開されている方(の一部)にお願い。せめて編成だけでも別レイヤーに配置してください。レイアウトから探し出すの大変です。

橋脚とレイヤーの関係をややこしくしている要素は大きく分けて2つあると言えます。

第一に、レイアウターのコピー&ペーストの動作です。一般的に、部品パレットから1つずつ部品をレイアウトにドラッグ&ドロップするよりも、既に配置した部品をレイアウト上でコピー&ペーストする方が、手間は少ないと言えます。部品の向きや高度設定等を再設定する手間が省けるからです。1つ1つの部品についてはそれほど問題にならなくても、連続した高架区間を作成する場合には、大きな違いとなります(これについては別稿でも触れました)。

部品のコピー&ペーストをおこなう場合、問題になるのが「ペースト実施時のカレントレイヤーに編入される」という仕様です。向きや高度設定とことなり、コピー元の部品がどのレイヤーに所属していたかに関わらず、ペーストされた部品はその時点で選択されているレイヤーに所属することになります。従って、別稿で紹介した方法で連続した高架区間を敷設する場合は、必然的に高架区間を構成する部品はすべて同一レイヤーに集まることになります。

配置部品に連番がふられるところから推察するに、内部データ構造からいって「ペースト実施時のカレントレイヤーに編入される」という仕様には必然性はないはず。

とすれば、是非ともI.MAGiC様におかれましては次期バージョンでこの仕様を改めて(せめてコピー元レイヤーを引き継ぐか否かをオプション指定できるようにして)頂きたいのですが・・・。

 

<「部品の表示色」周辺が黒枠で囲まれているのがカレントレイヤー>

 

 

 

正式な用語がマニュアル上にも未定義に思われたので、とりあえず「カレントレイヤー」と呼んでみてますが。

「初心者の方は、鉄道模型シミュレーター3になれてきた段階でレイヤー機能に挑戦してください。情報の仮想的な分類というコンピューター的な概念が必要な中級、上級者向けの機能です。」というマニュアルの記述を見るにつけ、I.MAGiC様はハナから一部のユーザーがレイヤー機能をマスターすることを期待してないんじゃ・・・と思うのは考え過ぎ?

第二に、橋脚(仮想橋脚を除く)はある意味においてレール以上に特殊な部品であるという点です。そのココロは、橋脚は「レールに高度を与える」という性格上、自分自身は常に「高度0mmに配置された部品として振舞う」ところにあります。

この2つの問題が加味された結果、築堤区間の敷設においてジレンマが発生します。

築堤区間を「透明橋脚を使った連続した高架区間」とみなした場合、作業効率からいうとレールと橋脚を同一レイヤーに配置し、コピー&ペーストによって延伸するの方が明らかに楽です。

ところが、この築堤区間に対して「造成」をおこなう際に問題が発生します。レールと橋脚を同一レイヤーにしている場合、すべてを選択して地形造成をおこなうと、透明橋脚の場所毎に大穴が空いてしまうのです。これが前述した「橋脚は高度0mmに配置された部品として振舞う」に起因することはご理解いただけるでしょう。

 

 

橋脚についてのみ、「造成」時に無視する、という実装もアリだったんじゃないだろうか。と、今回はやたらVRMの仕様にケチをつけてみたり・・・。

 

<ビュワーで見るとこの通り>

 

<レイアウターで見ると橋脚毎に穴があいているのが一目瞭然>

 

 

 

 

 

 

偉そうに書き進めてますが、初めてこの現象につきあたったときは、正直なところレールと橋脚をレイヤー分けするというアイデアが思い浮かばず、「えぇ、レール一本ずつ選んで造成していかなあかんのー!!」と絶望的な気分に陥りました。

このジレンマをどう決着するか、が今回の本質なワケです。レールを敷設していく時点のみの作業効率を考えた場合、明らかに同一レイヤーにレールと橋脚を含んでおく方が楽と言えます。コピー&ペーストの繰り返しで延伸できるからです。が、レイアウト作成トータルの手間を考えた場合、個人的にはレールと橋脚を別レイヤーに分けておくことをお奨めします。これは以下の理由によります。

第一に、長く連続した築堤区間のレールをレイヤーに寄らずにすべて選択する(もちろん「造成」のためですが)のは想像以上に手間がかかることが挙げられます。ドラッグによる範囲選択が使えないのは当然として、[Shift]キーを押しながらの複数選択も築堤区間がその時点のウィンドウ拡大率に収まりきらない場合は非常に面倒です。ましてや1つ選んでは造成、1つ選んでは造成・・・と繰り返すのは築堤区間がある程度以上の長さになると絶望的な作業になります。

第二に、こちらがより本質的な理由ですが、築堤に対する「造成」は多くの場合一度では済まないことが挙げられます。築堤区間の周囲にストラクチャを配置してそれらに対して地形造成をおこなった場合、その高架が既に造成済みの築堤区間に影響を及ぼし、レールが埋もれてしまうことがままあります。

 

 

 

 

 

 

 

ざっと付属のHTML版マニュアルを見たところ、[Shift]キーを押しながら部品選択(ラバーハンドによるものも含む)を繰り返すことで複数部品を選択できる、という説明がないように思うんですが・・・気のせいですか?

 

<埋もれてしまったレール>

 

 

 

 

VRM2の頃は、単にレールに造成やっても結構な確率でこーなってたよーな気がします。

この場合、埋もれてしまったレールを選択してもう一度地形造成をおこなえば解決しますが、埋もれてしまった部分をその都度探し出し、地形造成を繰り返すのは、これまたバカげた作業です。築堤区間のレールのみを独立したレイヤーとして管理しておけば、築堤周辺の地形をいじる毎にそのレイヤーをすべて選択して「造成」を一回おこなうだけで、そのような問題を回避することができます。

 

<レイヤー名のあたりをクリックして全選択すると・・・>

 

<該当レイヤーに含まれる部品=レールすべてが反転表示され・・・>

 

<「造成」をしても穴はできない>

 

 

言うまでもないと思いますが、左の手順は「レールと橋脚がキチンとレイヤー分けされている」ことが前提です。「レール」というレイヤーを作って選択すればいい、というワケではありませんので、そういうトンチキな質問メールはご遠慮ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これまた余談ですが、「ペースト実施時のカレントレイヤーに編入される」という仕様の副作用として、非表示のレイヤーがカレントになっているのに気づかずに何度もペーストしてしまって、無駄な部品を大量にコピーしてしまう、ってなこともありますね(オレだけ?)。

やはり、このへんの仕様変更は是非ともVRM4で実現していただきたいと切に願うわけでして・・・。

レイヤー分けはこうでなければならない、と言ったようなルールが存在するわけではないので、別にどーでもいい話ではあるのですが。

大抵の場合レールはレイアウト作成の初期の段階に配置され、その後ストラクチャ等を配置して微調整にとりかかるころにはその修正が極めて困難になっていることが常です。レイアウト作成の早い段階で本稿で述べたような配慮をおこなっておくことにより、最後の仕上げの能率が上がり、結果的に質の高いレイアウトの完成に寄与できるのではないか、と老婆心ながらまとめてみた次第です。ご参考までに。

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