オマケやら雑文やら。

VRM系Webの傾向と対策

手垢に塗れた文言であることを覚悟の上で申し上げると、鉄道模型シミュレーター(以下、VRM)の今後の発展には、開発販売元であるI.MAGiC社の努力もさることながら、我々ユーザーが盛り上げていくことが欠かせません。そして、その最も妥当な方策は「各ユーザーがVRMを扱う魅力的なWebサイトを立ち上げること」であることも、おそらく異論はないでしょう。

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VRM車輌リリース状況分析

トワイライトエクスプレスに・・・

嵯峨野トロッコに・・・ その他

丁度1年前、ネット上に散見されるダウンロード可能なVRMレイアウトを分析しレイアウト作成の三大潮流なる論考を上梓したことがありますが、今回はそのWeb版とお考えください。本稿前半では、既存のVRM系Webを分析し、どのような傾向を見て取ることが出来るか、VRMの今後の発展を期する上で何か不足している要素はないか、を検討します。後半では、前半の分析をベースに、特にこれからVRM系のWebの立ち上げをお考えの方に「こういうWebはどうよ?」的な提案をおこないます。

例によってghostの発作的電波ゆんゆん論考ですので、あまり真に受けないように。これまでにghostの論考を読んで気分を害した経験がおありの方には完読はお奨めしません。また、敢えて読もうという蛮勇の持ち主には、予め以下の3点をご理解いただけますようお願いします。

 

- すべてのVRM系Webマスターが「VRMの今後の発展を目的とすべきである」などということを主張するつもりはありません。ただ、それを目的とする方法論を形だけでも取り入れることは、あなたのWebライフにとってプラスになるとは思います。

- 本稿中にはいくつかのVRM系Webが分析対象として登場します。取捨選択はghostの恣意によるもので、取り上げたものが良いWeb、そうでないものは悪いWeb、といった意図はありません。

- 本稿は「これからVRM系Webを立ち上げる方」「運営しているVRM系Webの改良をお考えの方」の参考になれば、との意図から執筆しています。本稿の示す指針・提案に合致しないWebサイトを非難中傷する意図はありません。

 

まぁ、こういうエクスキューズをしてもなお、深読みする人はしちゃうんだろーな、とは思いますが。

分析1:鉄道系WebとVRM特化Web

至極当然のことですが、VRM系のWebは鉄道に関するWebの一部としてVRMを扱うものと、VRMのみを扱うものに分けて考えることができます。前者の例としては165系急行東海さんの「急行電車!のページ」、後者の例としてはTatsuoさんの「TatsuoのVRMレイアウト」あたりが非常にわかりやすいサンプルではないかと思われます。前者を「VRMもやっているWeb」、後者を「VRMをやっているWeb」と呼ぶことにしましょう。

一概に断言はできませんが、一人の人間ができる仕事量には自ずと限界があるので、「VRMをやっているWeb」は「VRMもやっているWeb」よりも更新頻度・情報密度が高くなる傾向を見てとることができます。一方で「VRMをやっているWeb」は普通に考えるとVRMを既に知っていて興味のある人だけが読者になりますから、「VRMもやっているWeb」に比べるとVRMを世間一般に宣伝する効果に劣る、ということになります。

これも当然ながら、VRM系Webをこの2つに綺麗に分けることが出来るワケではありません。鉄道総合WebとしてありながらVRMの分量が肥大化して単独のサイトとしても見えるケース(永山鉄道株式会社等)や、まったく鉄道と無関係なコンテンツとVRMが並んでいるケース(しおじのページ等)、等の例外があります。

が、本文で触れているように「VRMをまったく知らない人にVRMに触れる機会を与えるか否か」という観点で二分することは不可能ではないでしょう。

言うまでもなく、どちらが良くてどちらが悪いという話ではありませんし、むしろVRMの今後の発展を期するには両方が適度に存在する必要があると言えます。現時点での勢力分布は「VRMもやっているWeb」の方が優勢のように思えます。市場原理からいうと、「VRMをやっているWeb」の方が数が少ない分、今からVRM系Webを始めるのであれば潜在的なニーズに叶っているのではないか、と思われます。

 

分析2:現物支給とネタ投下

ここでいう「現物支給」とは、VRMレイアウトファイルを配付しているWeb、の意とお考え下さい。広義に捉えれば編成ファイルや、地面・背景テクスチャがダウンロードできるWebも含まれます。これに対し「ネタ投下」は、そういったファイルの配付はおこなわず、技術記事やFAQの提供を主としているWeb、の意です。本節ではまず「現物支給」について考察してみます。

もちろんこれも厳密に二分されるものではなく、たいていのVRM系Webは両方の顔を持っており、どちらに力点を置くかがそのWebの性格を決定付ける要素の1つになっているものと思われます。

VRMレイアウトの公開・配付については、前バージョンとなるVRM2以来大量のレイアウトをコンスタントにリリースしているまゆきちさんの「鉄道模型シミュレーター(VRM)で作った私のレイアウト集」と前述の「TatsuoのVRMレイアウト」が突出しており、ほとんどのVRMを扱っているWebでも量の多寡・質の良悪は別にしてレイアウトファイルをダウンロードすることができます。

敢えてレイアウトファイルを配付しないひねくれものはghostぐらいのもんでしょう。

一方で、「レイアウト作者と同じVRMパッケージを持っていないとレイアウトファイルをそのまま楽しめない」というVRMの仕様上の特性から、ネット上で公開されているレイアウトファイルの数は必ずしもユーザーの満足度につながっていないようにも思われます。これには別の論考で述べた「想像以上にVRMのユーザー層は若い=多くのパッケージを買い揃える経済力を伴わない」も負の影響を与えているようです。また、レイアウト作者の立場からみると、たくさんのパッケージから豊富な部品を使って力作を作れば作るほど、他の人からは楽しんでもらえないというジレンマを生んでいます。

手前味噌ながら、VRMoviesのメインコンテンツとなっている「VRM動画」というスタイルはこの問題の解決策として選択したものです。当初は孤軍奮闘でしたが、最近になって、ちび鉄道少年さんはやぶささんが動画を公開され、VRMovies BBSでも動画作成を表明している方がおられます。ghostの個人的な希望としては、より多くのVRMユーザーにこの分野に挑戦していただき良い意味でのライバルたらんと願うのですが、VRM以外のPCアプリケーションにある程度精通している必要があるという点で、その普及に課題を残しています。

VRM動画作成については以下の拙稿が参考になるかと。

VRMoviesが出来るまで(基本編)

VRMoviesが出来るまで(応用編)

 

また、こちらにも同趣旨の寄稿をしておりますのでご参照いただければ幸いです。

この問題へのもう1つの解法として、しおじさんが唱導しておられる「1パッケージ作成レイアウト」の試みは注目に値すると思われます。詳しくはしおじさんのWebでご覧いただくとして、敢えてVRM3の特定の1パッケージに収録されている部品のみでレイアウトを作成し、部品限定による表現力不足を地面テクスチャの工夫等で補うという手法は、VRM動画と比較してVRMのスキルのみで対応できる点で、より万人に開かれたスタイルと言えるでしょう。この分野にも、より多くのVRMユーザーに挑戦していただきたいと思います。

 

分析3:ターゲットが難しいネタ投下

本節ではもう1つのVRM系Webの形態である「ネタ投下」について考察します。

大雑把に言うと投下されるネタはいわゆる「テクニック紹介」と「FAQ」に分けて考えることができそうです。さて、これはghost自身の反省も踏まえて書くのですが、ネット上に散見されるVRMに関する技術記事やFAQはどうにもツボを外しているように思えてなりません。と言うのも、I.MAGiCの会議室/初心者会議室で日々繰り返されスーパーバイザー諸氏を煩わせる質問は、誤解を覚悟で言えば「もっとレベルが低い」からです。

最近、テクニック記事をサボりがちなのも「こんなん書いても、わからん人にはわからんやろなー」という気持ちがあるからでして・・・。

もちろん、超級の初心者(VRMのみならずインターネットの)であるからこそ無遠慮にちょっと自分で調べればわかりそうな質問を繰り返すのであって、もう少し心得のあるユーザーはネット上のVRM技術記事やFAQを活用しているはずだ、という仮定は可能ですし、現実にそうなのだと思います。が、低レベルな疑問に答えて欲しいというニーズがVRM初心者にあるのも事実であり、これを無視することは、せっかくVRMの世界に足を踏み入れた未来のレイアウト作家を、足早にここから立ち去らせてしまうことにもつながりかねません。

BBSなどで初心者の無知や勘違いをあげつらって優越感に浸る困ったちゃんをしばしば見かけますが、(1) 自分もつい最近までそうだったことを忘れている、(2) 今もよりハイレベルな人から見れば自分も初心者であることを忘れている、(3) 初心者を歓迎しない世界はいずれ廃れてしまうことに気づいていない、という意味で格好悪いのでやめようね。

そういう意味において、VRM添付のマニュアルを翻案し「着想から作成、運転まで」の一連のVRMの楽しみ方をまとめたWebが現時点で存在していないのは、意外と言えば意外な話です。そのような情報を上手にまとめたWebサイトを構築できれば、多くの読者を得ることが出来る上に、会議室の質問からそのWebへ誘導をかけることでスーパーバイザー諸氏の負荷の一助になるやもしれません。

 

VRM付属のマニュアルがわかりにくい、という意味ではありません。が、メーカーには書けない、ユーザーでないと書けないマニュアル、ってのがあるんですな、不思議と。

分析4:その他の話題

数あるVRM系Webの中でも異色の存在となっているのがKZさんの「ぶいあ〜るえむ」です。I.MAGiCのリンク集でも「NEWSとFAQを中心に扱うVRMでは珍しい?情報系サイト」とキャプションされていますが、スーパーバイザーならではのリーク情報(?)を含むニュースWebという点で注目の存在です。惜しいかな、現時点ではI.MAGiCオフィシャルの翻案サイトの域を脱しきれていない感もありますが、今後の動向が注目されます。

左記コメントはやや辛辣ながら、実は期待してるのよ>KZ殿

ここしばらくのVRM系Webの流れの中で最も印象に鮮やかなのは、ramneiさんのWebの画像掲示板の活況です。これまでもVRM系WebにBBSがなかったわけではなく、むしろBBSがないWebの方が珍しかったのに、ほとんどのBBSは本家会議室以上の活況となることはありませんでした。ranmeiさんのVRM掲示板は手軽にスクリーンショットを貼れること、また比較的低年齢層のユーザーが和気あいあいとできる雰囲気が立ち上げ当初から形成されたこともあって、成功を収めたように思われます。二匹目の泥鰌を狙うのは単なるリピーターの食い合いになる恐れがあるためお奨めできませんが、何かひとつでも特徴があれば本家会議室と共存共栄可能なBBSが運営できることを証明したという点で、注目に値すると思われます。

もう1つは、これまた手前味噌ながらリアルNゲージ鉄道模型との関係についてです。意外なことに、ghostが伊達と酔狂で立ち上げた「VRM→N」以降、続く人がいないようです。「鉄道模型シミュレーター」と名乗っている上、Nゲージ鉄道模型最大手のTOMIXとのタイアップもあるVRMですから、この領域にももっと話題があって良いと思うのですが、前述したように低年齢層のユーザーが多いためもあってか開拓が遅れているように思われます。

 

分析のまとめ

ここまで、VRM系Webの代表的なサイトを取り上げながらその傾向を概観してみました。以下に、VRMのさらなる発展に寄与するために克服すべき課題、という観点で箇条書きにまとめてみます。

 

(1) VRMレイアウトファイルの配付は、ニーズはあるが必ずしも成功していない。他の方法論の模索がおこなわれている。

(2) 技術解説系の読み物は初心者ユーザーのニーズに合致しておらず、より初心者寄りの常設コンテンツの登場が望まれる。

(3) ニュース系、画像掲示板、リアルNゲージとの連携はVRM系Webでは新しいジャンルであり、今後の展開が期待される。

 

続いて、ここまでの分析を踏まえて「こういうVRM系Webを立ち上げたら面白いんじゃない?」という具体的な提案をいくつかおこないたいと思います。

 

提案1:VRMストラクチャーズ

ghostが推奨する「VRM動画」、しおじさんが新境地を開拓しつつある「1パッケージ作成レイアウト」、に並ぶもう1つの新しいレイアウト配付スタイルとして、「部品複合技によって生み出したストラクチャーのみを配付する」というのはどうだろうか、と思ってみたり。例えば、拙作「Battleship」のような、それ自体ではVRMレイアウトとして楽しめないけれども、コピー&ペーストとして自作レイアウトに組み込むと効果を発揮するようなレイアウトファイルを配付する、という試みです。

あいにくghostは未見なのですが、昔「VRMの部品屋さん」と題したWebサイトがあったようです。名称から察するに左記のようなことをしておられたのではないか、と勝手に思うのですが、詳しいことをご存知の方はBBSにてご教示ください。

残念ながら現行のVRM3は地形の高度情報・地面テクスチャをコピー&ペーストすることができないため、配付可能なものは部品の組み合わせによる構築物のみとなりますが、それでも「もう一歩先へ進む足がかりが欲しい」と望む中堅ユーザーには歓迎されるのではないか、と思われます。

 

VRM4では高度情報・テクスチャのコピーペーストを実現していただきたいものです>I.MAGiC殿

提案2:はじめてのVRM

VRMのインストールから初めての起動、レイアウトの着想から製作、運転を楽しむまでの過程を、レイアウター・ビュワーのスクリーンショットを交えて読者に追体験させるWebサイトです。前述したように、このようなWebサイトをうまくページ分けして常設しておけば、超初心者がI.MAGiC初心者会議室で溜息の出るような質問をしても、誰かが「はじめてのVRMの〜ページを参照」と誘導してあげることが可能になります。

思うに、ユーザーにVRMの購入を決断させる大きな要素はビュワーの華麗なCGであり、であるがゆえにレイアウターの無味乾燥なとっつきにくさが余計に強調されて挫折する初心者は結構いるのではないか、と思うんですが・・・。

可能ならマンガかなんかでVRMレイアウトが出来るまで、みたいなコンテンツが作れると面白いんですけどね。

これは単にスーパーバイザーの負荷の一助になるのみならず、VRMの購入を迷っている未来のユーザーにとっても、VRMが自分の手に負えるものか否かを判断する有力な材料となり、Webサイトのヒット数至上主義の方にはお奨めのネタです。

 

提案3:今週のVRMニュース

前述のKZさんのWebは、主にI.MAGiC発のニュースを扱っています。これに対し「今週のVRMニュース」はユーザー発のニュースを扱います。少し前からVRMoviesでもghostの個人的なニーズから用意したアンテナをオープンしていますが、これにWebマスターのコメントを添えたものと言えばイメージできるでしょうか。あるいは、VRMにおけるblogのようなものだ、とか。

たとえば「今週のVRMニュース」には以下のような感じのトピックが並ぶのでしょうか。

 

- しおじさん新作、脅威の1パッケージ作成レイアウト for FineTrack追加キット リリース!!

- Tatsuoさん47都道府県シリーズ完結編、今回はなんと沖縄県!!

- ranmeiさん掲示板にて、またもT-ハシさんの大技炸裂、過去ログに流される前に一見の価値あり!!

 

左記はもちろん冗談です。ネタにした皆様、スマソ。

他人のWebの更新に常に目を光らせるのは想像以上に大変な作業です。ただ、必ずしも上に例示したように最新のユーザー動向を追いかける必要はありません。むしろ、他のVRMユーザーの仕事を批評しつつ紹介する、というアプローチも、コメント如何によっては十分に創作であり得る、というお話です。

 

ある意味で本稿もblog的ではあります。

提案4:VRMによるNゲージレイアウトプラン集

Nゲージ鉄道模型レイアウトを作るには、それなりのお金と時間が必要ですから、誰もが暇人ghostのようなことができないのは当然と言えば当然です。が、Nゲージレイアウトを扱うのに必ずしも自分で製作する必要はないワケで、VRMで 600 x 900mm や 900 x 1800mm の定尺レイアウトを設計し、レイアウター画面=設計図とビュワー画面=完成予想図、ついでに予算見積りをつけて公開すると、鉄道模型愛好家からは注目されるかも知れません。

以前、別館の方でもちょっとしたエピソードを紹介しましたが、思いのほかレイアウトの設計にお悩みの筋も多いようです。

 

で、結局自分でやって「他力本願じゃないぞー」と立証することにしました。

これは、ghostがこれまで別館で主張してきた「鉄道模型愛好家をVRMの世界に引き込もう」という戦略のみならず、ともすればNゲージレイアウトとしては構築不可能な巨大レイアウト=大味なレイアウトに偏りがちなVRMユーザーの嗜好に一石を投じ、コンパクトにツボをおさえてまとめられたミニレイアウトの楽しみ、という新たな境地を開くキッカケになることも期待されます。

 

お疲れ様でした

以上、本日も例によって電波ゆんゆんに妄想を書き連ねてみました。

我ながらつける薬がありません。

本稿に示したVRM系Webのアイデアについては、好き勝手にご利用いただいて構いませんし、いちいちghostに許諾を得るには及びません。むしろ、本当にやる人が出て来たとしたら、こっちがご祝儀をお届けしたいくらいです。ghost自身は、作りたい動画ネタが耳からこぼれてきそうなほど脳内に溜まっているので、当面はこれらのアイデアの実現には動かない予定です。が、誰も着手しないようならば、きっとそのうちやるでしょう。

ご祝儀・・・といっても、現金を贈るとかそういうコトはないです。まぁ、せいぜいVRMoviesで大々的に取り上げて応援するとか・・・って、それってKZさんとおんなじ・・・(以下略)

今回は「他人のWebを評する」という、ある意味において「禁断の果実」に手を出した感もありますので、異論百出のことと思われます。ご意見やご批判、あるいは「オレのWebを勝手にネタにしやがって、ゴルァ!!」ということがあれば、こちらに一言お書き添えください。

VRMoviesはマジ半分・ネタ半分です。字面を捉えてご立腹なされぬよう、伏してお願い申し上げます。

 


Webmaster: ghost@nodus.ne.jp