2008/03/21公開

コンセプト

最急部 R103mm

総延長 主ループ部約1,820mm

VRM→Nご意見箱にて、宮原太聖さんよりリクエストを承った「TOMIXコンビネーションボードAとミニカーブレールを使ったエンドレス」です。宮原さんの当初のご希望は、概ね以下の通りでした。

 

(1) コンビネーションボードA(600x300mm)上にエンドレススープを設けること。

(2) TOMIXスーパーミニ/ミニカーブレールを使用すること。

(3) 卓上碓氷峠レイアウトのような、渓谷を鉄橋で渡る構成であること。

(4) ダミー線路は用いずに、渓谷越しに見える折り返し線を含めて、複線っぽさを表現すること。

 

デスクトップレイアウト設計代行依頼はいつでも歓迎しますので、お気軽にBBSメールでご相談ください。

 

 

<全体俯瞰>

 

これを受けて、向かって右側には上掲スクリーンショット同様にトンネルを配し、左側にはロックシェードを設けた初版(後述)を作成したところ、宮原さんよりロックシェードに代えて「小高い丘程度の上に岐阜城みたいなもの」を配してみて欲しいとのご要望をいただき、その結果生まれたのがこのレイアウトプランです。

そのような意味において、このレイアウトプランは、VRMを設計に活用した鉄道模型レイアウト作りの醍醐味とも言える「仮想空間で見える化したレイアウトに、フィードバックをかけてそのデザインをブラッシュアップしていく手法」の典型例と言うことも出来るでしょう。

 

本館“VRMovies”にて、このレイアウトから生成したVRM動画を掲載しておりますので、合わせてお楽しみください。

 

 

最急部にC103を使用しているため、走行可能な車両に制約があります。詳しくはTOMIXのWebを参照してください。

 

 

<右/トンネル・駅側からの眺め>

<左/城側からの眺め>

使用部材例

レイアウト中、最も目立つ城郭は、“無理矢理ストラクチャ”の手法を使ってシミュレートしたもので、特定の既成製品を再現したものではありません。下掲載の部材一覧では童友社の「日本の名城」シリーズを例示していますが、他にも候補はあると思います。

向かって右手の駅構造については、背景となるKATO鉄道官舎を除き、部材をリストアップしていません。C541-15はともかく、C103-30に一部隣接するため、バルサ材積層などで自作するしかないと思われます。その際はクリアランス評価に注意が必要です。

 

お手元に十分なVRM4環境をお持ちの方は、こちらから作中で利用されている無理矢理ストラクチャをダウンロードすることが出来ます。

メーカー 部品名 数量
TOMIX S33 2
TOMIX C103-30 1
TOMIX C103-60 4
TOMIX C140-30 1
TOMIX C280-15 3
TOMIX C541-15 1
TOMIX 単線トラス形鉄橋 1
TOMIX デッキガーダー橋 1
TOMIX 単線架線柱近代型 7
KATO 鉄道官舎 1
KATO ガードレール 1
GM 三燈式信号機 1
GM 単線トンネルポータル(非電化用) 1
GM 複線トンネルポータル 1
津川洋行 中継信号機 1
童友社 日本の名城 1(※)

左記数量は一部の例外を除いて部品の実点数です。パッケージ数ではないことにご注意ください。

植生素材やフィギュアの類はリストアップしていません。

※ あくまでも部材例として。製品詳細は童友社のWebサイトを参照のこと。日本の名城はカタログ上3シリーズ(第一章第二章第三章)ラインナップされており、お好みのものの一部を切断して使用するのが良いのではないかと。

 

設計図

クリックで拡大表示します

<レイアウター図面>

左画像は縮小表示されています。右クリック→名前を付けて画像を保存、していただくと原寸の約1/4のサイズになります。4倍に拡大していただくと、そのまま設計図面としてご利用いただけます。

 

より詳細な図面をご希望の方はご相談に応じますのでこちらにご一報ください。

クリックで拡大表示します

<トラックプラン図>

トンネル区間はC103になるため、クリアランスがシビアです。実施工に当たっては、レールを仮置きした後、ブロック状に切断した発砲スチロールを車両通過を試みつつ積み上げていくことをお奨めします。

高低差については、掲載している設計は、渓谷の水面がベース面となっており、これに対してレール接地面が80mm高となっています。これに対し、山の頂上(及び天守閣の屋根)が対ベース約200mmです。

完成予想図

<秘境駅?>

プラットホームの一部がトンネル内へと続く秘境駅(?)。

施工が手間であれば、プラットホームを廃して柵かフェンスを設け、線路脇に工作小屋か何かがある、といった情景にしてしまうのもアリかと思う。

止め絵だとあまり違和感がないが、日本の風景である前提でこの情景の中に小型電車を走らせると、この駅を勢い良く通過する様は想像以上に妙に感じるような気がする。

とは言え、この経路長でチマチマ停車をさせるのも面倒なので、そこが気になる人は、いっそのこと駅を廃して手放し運転を眺めた方がいい、というのがボクの持論。

<山上の天守閣>

面積的に城郭へのアプローチ道路を作り込むのは難しい(と言うか、ゴチャゴチャになって返って情感を欠くと思われる)。

実施工にあたっては、ライケンやフォーリッジクラスタで城の足下を隠し、城郭モデルもスケール違いの小振りのものをチョイスすることで、遠近感による対比と割り切るのが妥当だろう。

同様の実装については、拙作レイアウトのコレとかコレが参考になるかも知れないし、ならないかも知れない。

渓谷を正面側から>

設計上必須ではないが、渓谷の駅のある側に、レイアウト奥手から上ってくる石組みの道路を配してみた。

このサイズはもちろんのこと、デスクトップサイズのレイアウトにおいて、線路に勾配を設けることは走行性能の確保上あまり好ましくない。

が、線路をすべて同一平面に配し、その他のストラクチャもそれにならうと、どうしてもレイアウト全体の構成が平板になってしまいがちである。

道路は、車両の走行性能とは関係なく任意の斜面を作ることが出来るので、特に本作のように線路の下をくぐる経路が確保されている場合は、この僅かな空間に傾斜道路を配することにより、本来ありえない立体感を演出することが出来る・・・と思う。

 

実施工にあたっては、たとえばGMの“石垣”などを無理に使おうとするよりは、目分量で発砲スチロール塊から斜面を切り出し、これに微調整を加えた上でプラスター塗布で表面質感を出す方が、結果的に全体と調和するような気がする。

同様の実装については、拙著『鉄道模型シミュレーター4レイアウト設計入門』の第1章作例レイアウトにおいて、駅裏の道路がそんな感じなので、参考にしていただければ幸い。

 

同じく渓谷を背面から>

裏側から見ると・・・>

奥手のトラス鉄橋は、背景と割り切って設計を進めたが、城郭裏の唐突な崖を除けば、なんとか見れるレベルに落ち着いた感のある背面。

このサイズのレイアウトであれば、持ち上げて向きを換えるのも容易なので、たまに上掲写真のように渓谷を逆から覗き込むのも一興かと。

 

VRMによる設計の見える化とフィードバック

前述したように、今回の設計では、宮原さんのリクエストを受けてドラフト版を作成し、それをご覧いただいた上での感想をフィードバックして、最終的な設計を完成させました。

以下に示すのが初版設計です。

<本作設計初版>

当初、依頼主は、拙稿卓上碓氷峠レイアウトに見られるような「エンドレスの折り返しカーブ部をすべてトンネルで隠蔽してしまう」設計を想定しておられたようでした。が、このサイズでそれをやると、流石に閉塞感が強過ぎるように思われたため、上掲初版のように、向かって左側をロックシェード風とし、列車の走行が見え隠れする演出を狙ってみました。

結果的に、この設計は宮原さんの好むところとはならず、より開放的なデザインに落ち着いたのは本稿に示した通りです。

VRMにおけるロックシェード表現としては、fox-material-pavilion所収のChelin氏作「ロックシェード」が秀逸な作例であり、本作初版作成に際しても参考にさせていただきました。

<ロックシェード側から見た風景>

いささか我田引水ではありますが、このケースの示唆するところは、まさに筆者が「VRMを活用したリアル鉄道模型レイアウト作り」を唱導する理由に合致するように思われます。

おそらく、宮原さんは、最初に「こんなレイアウトを作ってみたい」とイメージされていた段においては、矩形ボードの左右をトンネルで隠す手法が、このサイズにおいてこれほどの閉塞感を醸すことを想像しておられなかったのではないか、と推察します。

これが、VRMによって見える化された結果、宮原さんの内部において「あぁ、私が作りたかった情景は、実はもっと開放的なものだったんだ」という気づきにつながり、ひいては「山上の城郭」というアイデアにつながったのではないか、と思う次第です。

ささやかな例ではありますが、このような一見理屈臭く回りくどさすら覚える事例の積み重ねが、結果的に、より自由で大胆で、かつ、各施工者が真に理想とする鉄道風景を実現するための手がかりになっていくのではないか、と筆者は考えます。

こういう事例を、読者諸兄と共に、もっともっと積み重ねていくことが出来れば、無上の幸いです。

 

初版と完成版には甲乙はないと思いますので、ロックシェード付のデザインの方が気に入ったとおっしゃる方がおられたら、是非、実施工に挑戦してみてください。

後日、宮原さんがお作りになるであろう城郭版の完成写真と対比させてみたりすると、面白いかも知れません。

 

 

 

レイアウト設計の代行・コンサルティングは常時承っております。ボクのやりたいことは、皆さんにボクの理想とする設計を押し付けることではなく、皆さんの中に埋もれている理想の風景を具体化するプロセスに協力することで、そのノウハウを積み重ねるところにあります。

なので、設計リクエストをいただいた方には、面倒に感じられるほどの質疑応答を繰り返すことも御座いますが、それに耐えられる方は、是非ボクの研究に協力してください。

ghostは、ここに紹介したレイアウトプランについて、その施工実現性をいかなる場合においても保証いたしかねます。ご承知おきください。

 


Webmaster: ghost@nodus.ne.jp