2007/11/04上梓


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その5:作業用カメラ列車を作る

前回の作業では、以下のことを説明抜きにおこなっていました。

 

(1) 編成を配置するレールをレイアウトボードを縄張りした区域から少し離れたところに置いた。

(2) 編成に運転台のないコンテナ貨車を組み込んだ。

 

これは、VRMビュワー起動時の視点が、レイアウト上に最初に配置した編成の運転台の視点になる、という仕様を受けてのことです。

厳密に言うと、VRMビュワー起動直後の視点は「レイヤーパレット(後述)の中で、一番下にある編成の運転台視点」になります。

故意にレイヤーパレット内で部品(およびレイヤー)の並べ替えをおこなわない限り、これはレイアウトに最初に配置した編成のことになります。

<少し離れた位置からレイアウトボードを見ている>

VRMレイアウト作りは、VRMレイアウターで設計作業をおこない、その仕上がりをVRMビュワーで見て確かめる、の繰り返しになります。

ビュワー起動直後の視点が、設計中のレイアウト(ビネット)の全体を俯瞰できると、何かと便利です。そこで筆者は、VRMレイアウトを作る場合、常に最初にレイアウトに配置する編成を、今回の表題に掲げた“作業用カメラ列車”にしています。

これを用意しておくと、以降のレイアウト作りの効率が上がります。テンキー操作で視点を動かさずとも、製作中のレイアウトの全貌がビュワー起動だけでパッと把握できるからです。

とは言え、上掲スクリーンショットの状態では、レイアウトボードをその設置面と同じ高さから見ているので、全体のイメージがまだ掴みにくいです。そこで、少しレールの高さを上げて、レイアウトボードを見下ろすようにしてやります。

(1)レイアウトボードから離れた場所にレールを置いた、のは、上掲スクリーンショットのように、ビネット全体が見える位置に編成を展開するためであり、(2)コンテナ貨車を組み込んだ、のは、運転台付きの先頭車では運転台が邪魔で作成中のレイアウトが見辛くなるからです。

<レールを選択した状態のオプション>

〔配置ツール〕→〔選択と配置〕が選択された状態で、作業用カメラ列車の載ったレール部品をクリックすると、オプション欄が上掲スクリーンショットのようになります。ここに、以下の作業をおこないます。

 

・“高さを固定する”のチェックボックスをチェックする。

・“高さ”のテキストボックス(2つあります)のそれぞれに“100”と入力する。

 

<入力した状態>

これで、レールに地面(基準面)に対して100mmの高さが与えられました。当然、レールの上に載っている編成の高さも100mmになります。

ここでVRMビュワーを起動し、テンキー操作で後ろを振り返ると、下のスクリーンショットのようになります。

<宙に浮いたレールとコンテナ>

これで、VRMビュワーを起動すると、レイアウトボードを見下ろしたような視点が見えるようになりました。試みに、今回このビネットに飾る予定の車両をレイアウトボードに置いて、作業用カメラから見てみましょう。

<こうなる>

左スクリーンショットでは、ボード上の車両が載っているレールを、作業用カメラ列車とは逆に8mm高さを下げ、レールが見えないようにしています。

なお、VRMにSBB RIC Bpm客車がないので、同じ25m級のEuroExpressのDB ICで代用しています。

ついでに、実物とも比較してみましょう。

<Nゲージ車両とレイアウトボード>

ちゃんと同じような按配に見えますね。

以降、レイアウト設計の段階ごとにご紹介するVRMビュワーのスクリーンショットは、原則としてこの視点でお届けしていくことになります。

これは同時に、もしアナタが本連載の手順に沿ってVRMレイアウト作りをおこなうとすれば、VRMビュワーを起動するたびに、この視点からご自身の作品を眺めることになることを意味しています。

レイヤーの管理

次回から、ようやくレイアウトの上に情景を作っていく段階へと進みます。その前に、VRMの“レイヤー機能”について触れておくことは無駄にはならないでしょう。

レイヤー機能は、VRMレイアウト作りを進めていく上で、絶対に必要な機能ではありません。理解できなかったり、面倒に感じる方は無理に使わなくても結構です。が、レイヤー機能を上手に活用すると、VRMレイアウト作りの能率が格段に向上します。

<レイヤーパレット>

部品名の左に[x]と表示されている数字は、VRMシステム内における部品の管理番号です。

この番号は常に2から始まり(1は、レイアウトそのものを示す数字として内部的に扱われています)以下、3,4,5・・・と順に増えていきます。

この番号は増える一方で減りません。一旦配置した部品を削除しても、削除した部品に割り当てられていた番号は再利用されません。

左例では、既にこの時点で3〜5番を割り当てた部品を削除しているため、これらが欠番となっています。

 

この番号は、前述したようにVRMシステム内部でのみ意味のある数字であり、ユーザーが気にする必要は、まずないと思って問題ありません。

中には、この番号が綺麗に連続していないと気になってしかたがない、とおっしゃる几帳面な方がおられるかも知れませんが、それはまったく本末転倒なこだわりですので、ご注意あれかし。

部品を取り出すパーツパレットとは別に、それでいて良くにた外見のウィンドウがあることにお気づきでしょうか。これが“レイヤーパレット”です。

レイアウト新規作成直後、レイヤーパレットには「Layer-1」と書かれているだけです。が、レイアウトウィンドウに部品をドロップすると、レイアウトウィンドウにその部品が置かれるのと同時に、レイヤーパレットにも同じ部品が表示されるようになります。レイアウトウィンドウと異なるのは、レイヤーパレットには部品の形ではなく“名前”が表示される点です。

上掲スクリーンショットは、レイアウト上に1本の「ストレートレールIS128」と、「編成部品」1つだけを置いた状態です。これは“作業用カメラ列車”を置いた直後であることを意味しています。このとき“「ストレートレールIS128」と「編成部品」は「Layer-1」に所属している”と言うことが出来ます。

以下、代表的なレイヤーの操作を見ていくことにしましょう。

<レイヤーパレットのポップアップメニュー>

レイヤーと似て非なる機能に、左ポップアップメニューにも現れている“グループ”があります。これについては次回詳説の予定です。

レイヤーの名前(上例では「Layer-1」)が表示されている部分にマウスカーソルを置き、マウスの右ボタンを押すと(例によって押しっぱなしにしてください)、上に示したようなレイヤーポップアップメニューが表示されます。

ここで〔レイヤー情報〕を選んでマウスボタンから指を離すと、レイヤー情報のダイアログが表示されます。

<レイヤー/グループ情報ダイアログ>

レイヤー/グループ情報ダイアログでは、レイヤー/グループの名前の他に・・・

 

・部品の表示

所属する部品の、レイアウトウィンドウでの表示/非表示を決める。

たくさんの部品が狭い範囲に重なってきた際、目下の作業に直接関係のない部品を非表示(チェックを外す)にすると、わかりやすくなり、加えてレイアウターの動作速度がわずかながら向上する。

 

・編集ロック

所属する部品を〔配置ツール〕で操作できるかどうかを決める。

ロックされたレイヤー(チェックを入れる)の所属部品は、移動させたり削除したりすることが出来なくなるため、既に完成したレイアウトの部分を後の作業で壊してしまわないために役立つ。

 

・ラベルの表示

レイヤーに所属する部品の名前の。レイアウトウィンドウ内での表示/非表示を決める。

部品密度が高くなってくると、名前の表示が邪魔になってくるので、このチェックを外してレイアウトウィンドウ内をスッキリさせる。数をたくさん使う部品(樹木等)はチェック外し推奨。

レイヤーには任意の名前を付けることが出来ます。ここでは、今配置した「ストレートレールIS128」と「編成部品」が作業用カメラ列車であることを示すために、ダイアログ上部のテキストボックスに「作業用カメラ」と入力しています。この状態で〔OK〕をクリックすると、

<「Layer-1」の表示が「作業用カメラ」に変わった>

レイヤーパレットのレイヤー名の表示が変化します。この機能をうまく使うと、設計が進むにつれて増え続けるたくさんの部品を、わかりやすく管理することが出来ます。

そのためには、部品の用途ごとにレイヤーを分けておく必要があります。さきほど同様にレイヤー名を右クリックしてポップアップメニューを表示し、今度は〔レイヤー追加〕を選択してください。

<新たに「Layer-2」が追加された>

前述の編集ロックは、レイヤー名左の「錠前のアイコン」をクリックすることでもON/OFFが可能です。錠前がかかったりはずれたりするので、ロックされているか否かがわかります。

 

同様に、部品の表示はその右の「緑色の丸のアイコン」で制御できます。クリックすると丸の色が緑から黒に変化し、同時に所属する部品がレイアウトウィンドウ上で非表示となります。

レイヤーが1つ追加されました。次回以降、レイアウトに新たに配置する部品は、この新しいレイヤーに所属させていくことにします。

この状態では、レイアウトウィンドウのそれぞれの部品がどのレイヤーに所属しているかわかりにくいので、色分けをしてやることにします。「Layer-2」と書かれた部分の左にあるグレーの正方形をクリックしてみましょう。

<色の設定ダイアログ>

上に示す色の設定ダイアログが表示されます。ここではオレンジ色を選択し〔OK〕を押してみます。すると・・・

<「Layer-2」がオレンジ色に設定された>

レイヤーの分け方、名前の付け方、色の割り当て方、は自由です。

リアルNゲージレイアウト設計にVRMを活用する場合については、レイヤー機能をうまく使って、“施工過程シミュレーション”をおこなうことが出来ます。

詳しくは拙著『鉄道模型シミュレーターレイアウト設計と製作(工学社,2005年)』あたりをご参照ください。

「Layer-2」にオレンジ色が割り当てられます。以降、Layer-2に所属する部品は、レイアウトウィンドウ上ではオレンジ色で表示されるようになります。

これを繰り返していくことで、レイアウトウィンドウ上には色とりどりの部品が並んでいくことになります。部品数が少ないうちは特にメリットを感じないかも知れませんが、部品の数が増え密度が上がっていくにつれて、この色分けが作業の効率に大きく役立つことになります。

<色分けされたレイアウトの例>

以上で、概ね準備作業が完了しました。次回からは、具体的なビネットの設計へと進んでいきます。

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